贈与税と名義変更…詐害行為も非課税に?
生前の名義変更は注意を要します。「相続対策のために名義変更したら税務署に呼び出された」「相続のことを考えて子名義で不動産を買ったら税務署に呼び出された」というのはよくあることです。
相続対策のための名義変更は贈与税と相続税を考えて慎重に。
不動産登記の名義変更については、「相続税法基本通達9-9」によって、以下のように定められています。
『不動産・株式等の名義の変更があった場合において対価の授受が行われていないとき又は他の者の名義で新たに不動産・株式等を取得した場合においては、これらの行為は、原則として贈与として取り扱うものとする』
税法では…〈不動産の名義変更は『贈与』である〉…と、推定するのです。親が資金を出して、子の名義で住宅を取得した場合も、同様です。
しかし、推定は《確定》ではありません。〈「贈与」ではなく、単に名義変更しただけですからっ!!〉…というコトが立証できれば、「贈与税」は課税されません。
また、住宅取得後の登記は、極めて安易に行われるようで…名義が子や妻であったり、共有持分だったりします。
登記完了後に、税務署から呼び出され…〈誰の購入資金?子や妻の名義なら「贈与税」だゾ〜!〉‥と脅されて(?)、大慌て。そして、同時に…〈登記を親や夫に直せば「贈与税」は無しヨ〉…という扱いを受けて、安泰です。(慌ててソンした〜…)
上記の扱いは、「名義変更通達5」により…
『他人名義により不動産の登記をしたことが過誤に基づき、又は軽率にされたものであり、かつ、それが取得者等の年齢その他により確認できるときは、これらの財産に係る最初の贈与税の申告決定更正の日前にこれらの財産の名義を本来の名義とした場合に限り、これらの財産については、贈与がなかったものとして取り扱う』
…と、定められています。
ただし、《ダメもとの名義変更》はNGです。過誤にも軽率にも該当しませんから…。
《真にやむを得ない理由》による名義変更である場合は、「贈与税」は課税されません。「昭和39年直審(資)34」に、該当する例があります。
『当該名義変更等に係る不動産・船舶・自動車又は有価証券の従前の名義人等について、債権者の内容証明等による督促又は支払命令等があった後にその者の有する財産の全部又は大部分の名義を他人名義としている事実があることなどにより、これらの財産の名義変更等が、強制執行その他の強制換価手続を免れるため行われたと認められ、かつ、その行為をすることにつき真にやむを得ない事情(例えば…これらの財産を失うときは、通常の生活に重大な支障を来す等の事情)がある場合(配偶者、三親等内の血族及び三親等内の姻族の名義とした場合を除く)』
国税庁は、〈債権者による競売を逃れる手段としての名義変更では、「贈与税」は非課税である〉‥と、明言しています。
債務者が、故意に自己の財産を減少させる『詐害(サガイ)行為』は…民法上では大問題です。しかし、税務においては情状酌量されるワケです。税務署で、〈競売逃れに登記の名義を変更しました〜!〉‥と、お願いできるのです。税務署は一部金融機関とは違い、血も涙もあります。このような明文規定まで置いてくれているのです。
やむを得ないのであれば強制換価手続を免れるための手続きであり、税務署にも了解してもらうためには…名義変更の当事者間で、〈競売を免れた後は速やかに名義を戻す〉‥という旨の書面を残すことになるでしょう。つまり贈与ではなく単に名義変更しただけですよ、とするのです。
会社でリストラにあって、あるいは自分の事業がうまくなって、収入も途絶えて、女房子供をどうすればいいんだ…。住むところもなくなってしまう…。こんなときにも、間違っても自殺や一家心中なんて考えてはいけません。何とか生きましょう。まさに上記通達にいう、「真にやむを得ない事情(例えば…これらの財産を失うときは、通常の生活に重大な支障を来す等の事情)」でしょう。
《やむを得ない名義変更》の相手として、配偶者等の『近親』はNGなのですが…そうかといって、『近親』以外で探すのは、かなり難しいと思われます。(事情が事情なだけに…)
そのときは、《確認書》を持って税務署へ赴き、誠意を以って説明し、頭を下げてみましょう。税務署員だって人の子です。ちゃんと聞いてくれるかもしれません。そして税務署員には守秘義務があるため、これらの情報は、一般の金融機関には伝わらないはずですが。
相続対策のための名義変更は贈与税と相続税を考えて慎重に。
不動産登記の名義変更については、「相続税法基本通達9-9」によって、以下のように定められています。
『不動産・株式等の名義の変更があった場合において対価の授受が行われていないとき又は他の者の名義で新たに不動産・株式等を取得した場合においては、これらの行為は、原則として贈与として取り扱うものとする』
税法では…〈不動産の名義変更は『贈与』である〉…と、推定するのです。親が資金を出して、子の名義で住宅を取得した場合も、同様です。
しかし、推定は《確定》ではありません。〈「贈与」ではなく、単に名義変更しただけですからっ!!〉…というコトが立証できれば、「贈与税」は課税されません。
また、住宅取得後の登記は、極めて安易に行われるようで…名義が子や妻であったり、共有持分だったりします。
登記完了後に、税務署から呼び出され…〈誰の購入資金?子や妻の名義なら「贈与税」だゾ〜!〉‥と脅されて(?)、大慌て。そして、同時に…〈登記を親や夫に直せば「贈与税」は無しヨ〉…という扱いを受けて、安泰です。(慌ててソンした〜…)
上記の扱いは、「名義変更通達5」により…
『他人名義により不動産の登記をしたことが過誤に基づき、又は軽率にされたものであり、かつ、それが取得者等の年齢その他により確認できるときは、これらの財産に係る最初の贈与税の申告決定更正の日前にこれらの財産の名義を本来の名義とした場合に限り、これらの財産については、贈与がなかったものとして取り扱う』
…と、定められています。
ただし、《ダメもとの名義変更》はNGです。過誤にも軽率にも該当しませんから…。
《真にやむを得ない理由》による名義変更である場合は、「贈与税」は課税されません。「昭和39年直審(資)34」に、該当する例があります。
『当該名義変更等に係る不動産・船舶・自動車又は有価証券の従前の名義人等について、債権者の内容証明等による督促又は支払命令等があった後にその者の有する財産の全部又は大部分の名義を他人名義としている事実があることなどにより、これらの財産の名義変更等が、強制執行その他の強制換価手続を免れるため行われたと認められ、かつ、その行為をすることにつき真にやむを得ない事情(例えば…これらの財産を失うときは、通常の生活に重大な支障を来す等の事情)がある場合(配偶者、三親等内の血族及び三親等内の姻族の名義とした場合を除く)』
国税庁は、〈債権者による競売を逃れる手段としての名義変更では、「贈与税」は非課税である〉‥と、明言しています。
債務者が、故意に自己の財産を減少させる『詐害(サガイ)行為』は…民法上では大問題です。しかし、税務においては情状酌量されるワケです。税務署で、〈競売逃れに登記の名義を変更しました〜!〉‥と、お願いできるのです。税務署は一部金融機関とは違い、血も涙もあります。このような明文規定まで置いてくれているのです。
やむを得ないのであれば強制換価手続を免れるための手続きであり、税務署にも了解してもらうためには…名義変更の当事者間で、〈競売を免れた後は速やかに名義を戻す〉‥という旨の書面を残すことになるでしょう。つまり贈与ではなく単に名義変更しただけですよ、とするのです。
会社でリストラにあって、あるいは自分の事業がうまくなって、収入も途絶えて、女房子供をどうすればいいんだ…。住むところもなくなってしまう…。こんなときにも、間違っても自殺や一家心中なんて考えてはいけません。何とか生きましょう。まさに上記通達にいう、「真にやむを得ない事情(例えば…これらの財産を失うときは、通常の生活に重大な支障を来す等の事情)」でしょう。
《やむを得ない名義変更》の相手として、配偶者等の『近親』はNGなのですが…そうかといって、『近親』以外で探すのは、かなり難しいと思われます。(事情が事情なだけに…)
そのときは、《確認書》を持って税務署へ赴き、誠意を以って説明し、頭を下げてみましょう。税務署員だって人の子です。ちゃんと聞いてくれるかもしれません。そして税務署員には守秘義務があるため、これらの情報は、一般の金融機関には伝わらないはずですが。