将来の相続税課税…相続時精算課税制度の実情…自由で高度?

 

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相続時精算課税制度の実情…自由で高度?


《誰か》が死亡したことによって財産を取得したときは…「相続税」が課税され、基礎控除額は、《5,000万円+法定相続人数×1,000万円》です。相続人が3人の場合、一人当たり2,666万円までの財産なら、「相続税」はかかりません。

そして、《誰か》から「贈与」を受けたときは…「贈与税」が課税され、基礎控除額は、《一年間に110万円》です。〈生前から「相続税」の基礎控除を使えるようにすれば「贈与」と同じさっ!〉‥という、発想でしょうか…「贈与」で、「相続時精算課税」の制度が始まりました。


「相続時精算課税制度」では、親からの「贈与」については、合計2,500万円までの財産が非課税になります。親が生前に《景気よく》財産を「贈与」すれば、子が《景気よく》消費して『景気回復』‥というワケです。

親から毎年1,000万円ずつ、「贈与」を受けた場合…1年目と2年目の「贈与税」は非課税ですが、3年目から課税されます。非課税枠の2,500万円を超える3年目は、超えた500万円に対する課税です。この制度では、税率が一律20%ですから…3年目の「贈与税」は、500万円×20%=100万円になります。


そして、4年目以降は非課税枠が完全に無くなり…「贈与」が1万円であっても、全額が課税対象となります。4年目の税額は、1,000万円×20%=200万円です。

5年目に、親が死亡します。親は4年間で4,000万円の「贈与」をして、子は300万円の「贈与税」を支払い済みでした。

さて、親の「相続税」を計算する際は…「贈与」を受けた4,000万円を、相続財産に加算します。そして、算出された相続税額から納税済みの贈与税額300万円を差し引きます。差し引いた金額がマイナスになる場合は、税務署から還付されます。


「相続時精算課税」では、「生前贈与」で財産を受取っても「相続」受取っても、同じコトになります。「生前贈与」で「贈与税」を納税しても、後の「相続」によって精算されるのです。そして、「贈与」を受けなかった相続人が「遺留分減殺請求」をすれば…フツーの「相続」と同様に(?)、《争族》が始まってしまいます。

この制度の対象とされるのは…65歳以上の「贈与者」(多くは親)と、その「贈与者」の『推定相続人』(多くは子)である20歳以上の「受贈者」‥となっています。


65歳未満の親が、子の住宅取得のために資金を「贈与」する場合…非課税枠は、2,500万円ではなく3,500万円になります。「贈与」があった翌年の3月15日までに税務署に届出をすれば、「相続時精算課税」が適用されて…届出によって『特定贈与者』となった親が死亡するまでは、適用が継続されます。

親が65歳時に届出をして100歳で死亡した場合は、35年間にわたって適用が続くことになります。適用が続く限り、《住宅取得等資金》の「贈与」についての資料が、税務署で保管されるコトでしょう…。


「相続時精算課税」は…〈父を「贈与者」にして《母からの贈与》は対象としない、長男は適用で次男は適用しない〉‥など、使用法(?)は自由です。

親の生前に、評価額が高い株式の「贈与」を受けた場合…「相続」のときに会社が倒産していれば、株式に価値は無くなります。逆に、株式が値上がりしていれば…当然、価値も上昇します。

『相続時精算課税』では、「相続税」が贈与時の評価額で計算されるため、《値上がり・値下がり》の損得があるわけです。実用には、高度な《先見の明》を要するかも…。
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